友だちのうちはどこ?

大きな勇気、小さな冒険。イランでの日常を子供の目から、飾らない美しい映像で描き出した作品。
じっといたいけな眼差しのアハマッド。「次にノートを忘れてきたら退学だ」と宣告された友達・モハマッド・レザ=ネマツェデのノートを間違って持って帰ってしまい、大人たちからの追及を逃れ、こっそりと返しに行こうとするのですが……。
時代もあるのでしょうか、とにかく大人たちが全くといっていいほど話を聞いてくれない。子どもへのあしらい方、接し方がとてもリアル。
先生も、お母さんも、お祖父さんも、村で出会う大工の人も。2つの村を行き来して駆けずり回った挙げ句、唯一助けてくれようとするのはネマツェデが遊びに来ていたというおじいさん。しかし結局、彼が言っていたのは別の一家で、アハマッドは失意のまま帰宅することに。
(さすがにご飯も食べないで落ち込むアハマッドを、お母さんが心配して優しくする場面でちょっと安心。)
理不尽の中で、アハマッドの努力と友情は、最後にはすんなりと身を結びます。
この『すんなり』感が日常の延長線上にあっていい。今日の観点からすると些か子どもに対する思いやりがないのでは、と思えてしまうところを、ほっこりとした締めに持っていっています。