友だちのうちはどこ?

大きな勇気、小さな冒険。イランでの日常を子供の目から、飾らない美しい映像で描き出した作品。
じっといたいけな眼差しのアハマッド。「次にノートを忘れてきたら退学だ」と宣告された友達・モハマッド・レザ=ネマツェデのノートを間違って持って帰ってしまい、大人たちからの追及を逃れ、こっそりと返しに行こうとするのですが……。
時代もあるのでしょうか、とにかく大人たちが全くといっていいほど話を聞いてくれない。子どもへのあしらい方、接し方がとてもリアル。
先生も、お母さんも、お祖父さんも、村で出会う大工の人も。2つの村を行き来して駆けずり回った挙げ句、唯一助けてくれようとするのはネマツェデが遊びに来ていたというおじいさん。しかし結局、彼が言っていたのは別の一家で、アハマッドは失意のまま帰宅することに。
(さすがにご飯も食べないで落ち込むアハマッドを、お母さんが心配して優しくする場面でちょっと安心。)
理不尽の中で、アハマッドの努力と友情は、最後にはすんなりと身を結びます。
この『すんなり』感が日常の延長線上にあっていい。今日の観点からすると些か子どもに対する思いやりがないのでは、と思えてしまうところを、ほっこりとした締めに持っていっています。

犬王

異形と盲人、駆け抜け続けた芸の道。7月に観に行ったものの記録。
アニメ『平家物語』の流れから興味を持った作品。びっくりするくらい平家源氏、鎌倉物が豊作ですね。ボヘミアン・ラプソディを観ていたらもっと楽しめるというお話だったようですが、そちらはまだ未見です。
犬王はぎょっとするルックスですが、愛嬌があり、こんな身の上を呪ってもおかしくないのに実にからりとした性格。
罰により父を失い、盲になった少年・友魚と意気投合し、それぞれ能楽、琵琶楽を極めようと協力し合います。
行く手を阻むのは外法に落ちた犬王の父。そして、評判になるにつれ彼らの新しく、破天荒な芸を排除しようとする動きも出てきて……。
緩急ついたお話で、全体的に素晴らしかったのですが、ちょっと間延びしているかな?という場面も。(友魚の乱杭歯が激しい「見届けようぜ」のところとか)
目を覆いたくなるような描写もあります。しかし彼らのむき出しの叫びは、この時代にこそ公開された意義があるのでしょう。
物語としても、時間の流れとしても。音響設備の整ったところでまた観たい。

ONE PIECE FILM RED

止まれなかった救済とその行く先。7月の『犬王』ぶりに映画館で観た作品。
ゲストキャラクター・ウタのキャラデザが告知された時点ですごくかわいいなと思っていて、やっと観に行けました。
主軸がウタで、現地にライブに観に行った気持ちにさせられること、それからこれまでのONE PIECEの映画とは脚本の傾向が異なること、総合して彼女が受け入れられるかどうかで好みが分かれそうな作品。ノリきれるか、ノリきれないか、もすごく大きいと思う。
関係性、能力、立場としても、色々と重要な要素が与えられているため、連載25周年目で出てくるには遅すぎた存在かもしれません。前作STAMPEDEでは「早すぎた」というロジャーの言葉が別の重要な場面で使われていましたが。
“麦わらの一味の物語”というよりかは、ウタと2人の父親、またこれまでスポットライトが当たることのなかったサブキャラクターたちにもそれぞれ視点を割り振った物語であったのかなと思います。要所要所がとても熱い。締め方はこれまでのONE PIECEの映画で一番好きだったかな。
そしてブリュレがかわいい。

ちょっと覚えた英単語①

scrunchie…布でゴムを包んだヘアアクセサリー。いわゆるシュシュ。(シュシュは和製外来語、フランス語に由来する。)
cunning fork…ヨーロッパ各地で民間治療、呪術に携わっていた人々。しばしば違法とされていたにも関わらず、魔女狩りや迫害から逃れて仕事をしていた。
blah blah blah…なんとかかんとか。○○とか何々とかの意味に使う。
anxious…気がかり。不安。心配して。また(be) anxious (for/to do)~で、~を切望している。
gadzooks…「ちぇっ!」「ちくしょう!」。古い表現。(語源はGod’s hooks、イエス・キリストがかけられた十字架の釘を表す。)
reinvigorate…生き返らせる。再活性化させる。(再び)活力を与える。